ジッダについて
最も厳格なイスラム国家として知られるサウジアラビア。
紅海の花嫁と謳われるジッダは,その中では最もリベラルで,多人種多民族が入り交じるコスモポリタンな都市です。近郊にあるイスラム教二大聖地マッカ及びマディナには,毎年諸外国要人を含む数百万人の巡礼者が訪れ,その玄関口としてジッダは発展してきました。
国際都市として発展してきたジッダでは,近年,キングアブドゥルアジズ空港の新ターミナルの完成やマッカ・マディナを結ぶハラメイン鉄道が開通した他,オブフル地域には世界最高層のビル「ジッダタワー(キングダム・タワー)」の建設が進む等,近代化の動きも見られます。
観光という観点から言えばサウジアラビアは開かれた国とはまだ言えませんが,世界最高レベルの透明度を誇る紅海はダイビングの名所として知られ,街には千年を超える歴史を持つ旧市街「バラド歴史地区」や世界最大の噴水「キング・ファハド噴水」等の見所が点在しており,林立する大型ショッピング・モールは常に多くの人々で賑わっています。
市の面積は1500平方km以上あり,人口は約400万人(2014年)ともいわれています。日本人は,総領事館関係者,日本人学校関係者,商社員などで,その数は約200人です。2019年9月27日より観光ビザが解禁されサウジアラビアを観光することができるようになりました。
市内には,大小様々なイスラム寺院(モスク)がいたるところにあります。そして,1日5回の礼拝(サラ-)の時間には,すべてのモスクのスピ-カ-からサラ-を呼びかける声が響きわたります。イスラム教の戒律が国民に浸透していること,また,外国人労働者の行動に対する雇用主の責任システムなどにより,治安は良いといえるでしょう。とはいえ,過度の安心は禁物です。女性のひとり歩きはもちろんのこと,空き巣ねらいや泥棒などには常に用心しなければなりません。
また,サウジでの交通マナーは決してよいものではありません。高速道路は時速120km/hは当たり前,普通の道路でも時速100km/hで飛ばす車がほとんどです。方向指示器を使っている車もあまりなく,運転するには前後左右への十分な注意が必要です。
気候について
ジッダは北緯21度28分(同緯度の都市は香港,ホノルル),東経39度10分(モスクワとほぼ同経度)に位置しており,日本との間には6時間の時差があります。 ジッダは紅海に面しているため,一年を通して高温多湿です。最高気温の年間平均は35℃を超え,夏場には最高気温が40℃を上回る一方,各月の最高湿度は91%にもなり,酷暑に見舞われることもあります。 2010年6月には観測史上最高の51℃を記録しました。また,ジッダの年間降雨日数は例年10日前後ですが,近年では,2009年および2011年の冬に集中豪雨による大洪水が発生し,死者・負傷者を含む多くの被害が報告されました。
Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平均気温(℃) | 23.0 | 23.0 | 25.0 | 29.0 | 31.0 | 31.0 | 32.0 | 32.0 | 31.0 | 30.0 | 28.0 | 25.0 |
最高気温(℃) | 29.0 | 29.5 | 31.8 | 34.9 | 37.2 | 38.3 | 39.4 | 38.8 | 37.6 | 36.7 | 33.5 | 30.7 |
最低気温(℃) | 20.3 | 20.1 | 21.4 | 22.1 | 24.0 | 24.8 | 26.6 | 27.6 | 26.4 | 24.1 | 22.3 | 21.0 |
平均湿度(%) | 60 | 60 | 60 | 57 | 56 | 58 | 53 | 59 | 67 | 66 | 65 | 63 |
降水量(mm) | 9.9 | 3.7 | 2.9 | 2.8 | 0.2 | 0 | 0.3 | 0.5 | 0.1 | 1.1 | 26.4 | 13.1 |
降水日数(日) | 2 | 0 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 |
生活について
ジッダでは,イスラム教の影響で女性は,外に出るときには,黒い布で身体全体を被う『アバヤ』というものを着用しなければいけません。現地の人だけでなく私たち日本人を含め,外国人も例外ではありません。また,男性も町中を歩くときは長ズボンなどで余り肌を露出しないように心がけています。観光ビザが解禁されたことにより,観光客の『アバヤ』着用義務はなくなりましたが,肌(特に肩や膝)を露出しない服装を着用するように求められています。子ども達は,男の子も女の子も日本同様に自由に服を着ることができます。年間の4分の3くらいが夏ですので,夏服を多く使います。しかし,11月~3月ぐらいは朝晩冷え込むことがありますのでいくらか長袖も必要となっています。また,とても日差しが強いので夏でも長袖を着用する男性もいます。帽子やサングラスは外に出るときに必ず必要です。
伝統的なサウジ料理といえば,『カプサ』や『マンディー』という羊やらくだの肉と野菜などを一緒に炊き込んだご飯等があります。また,市内にはいろいろな国のレストランが多く存在し,それぞれの味を楽しむことができます。数店舗ですが,日本料理も食べられます。レストランは『ファミリーセクション』と『シングルセクション』とに分けられ,男性のみの場合はシングルセクション,家族連れの場合はファミリーセクションとなります。残念ながら女性はシングルセクションには入れません。だからシングルセクションがないレストランは利用できないということになります。また,スーパーも多くあり,野菜や米魚,肉なども豊富に売っています。ただ,この国では宗教上の理由でアルコールと豚肉は入手することができません。日本から持ち込もうと思っても見つかってしまい,大変重いペナルティーが課せられます。果物はたくさんあり,どれも美味しいです。そのため,フレッシュジュースを販売しているお店が多くあります。また,日本でおなじみのファーストフード店(マクドナルド,ケンタッキーフライドチキン,バーガーキング,ドミノピザ,スターバックスコーヒーなど)も各地に点在し,とても利用しやすいです。(数年前までは店員の男性が多かったのですが,女性の地位向上の動きで,少しずつ女性の店員が増え始めています))
私たち日本人は基本的に『コンパウンド』という集合住宅に住んでいます。コンパウンドは市内各地に点在しており,居住者は主に欧米人や日本人等です。コンパウンドの中はでは厳しいイスラム教の影響はありません。アバヤ着用の義務もありません。また,コンパウンド内には各種施設があり,(スーパーやクリーニング,レストラン,プール,クリニックがあるところもあります)普段同様の生活をすることができます。